今回はつま先補強のタイミング最終回、レザー(革)編です。
レザーの素材はレザーソールの雰囲気を壊さないで修理できることが最大のメリットです。
レザーソールの自然な雰囲気にラバーはどうも違う。。。という方には最適です。
コバはもちろん違和感なく仕上げられますし、底にも染料を塗ることで、色も元のソールに近い雰囲気に仕上げることができます。
一方、レザーはラバーよりも耐摩耗性に劣ります。
ですので、ラバーのつま先補強は新品の革のソールにお修理しても効果的ですが、レザーのつま先補強の場合は新品の革のソールにお修理しても、「革」を削って「革」を付けるだけでつま先の耐摩耗性がアップするわけではないため、あまり大きな効果はありません。
したがって、レザーのつま先補強はある程度元のソールが削れてからお修理するのが効果的、ということになります。
この場合も「補強」というよりは「復元」に近いお修理になるとお考えください。
ではどこまで削れた状態でお修理するのがベストなのかということですが、上の写真だと「ギリギリ」お修理可能です。
というのも理由があります。
下の写真のようにソールはたいてい二層になっていることが多いのですが、上の層を「ウエルト」下の層を「アウトソール」といいます。
ウエルトとアウトソールは「出し縫い」というステッチで縫い合わされています。
オールソールは、古いアウトソールのステッチをほどいて新しいアウトソールに交換する修理のことです。
しかし、ウエルトはオールソールの際にも交換せずに再度利用して、新しいアウトソールと縫い合わせるパーツになります。
つまり、つま先のウエルト部分が削れてしまうと、ウエルト自体を交換しないとオールソールできなくなってしまうのです。
ウエルトを交換しようとすると、手縫いでの作業になりますので時間と費用がかかってしまいます。
ですので、ウエルト部分が削れてしまう前にお修理されることをおススメしています。
結論としては「
ウエルト部分が削れてしまうちょっと前」がつま先補強のお修理をするベストのタイミングになります。
かかとのすり減りは気になってもつま先はあまり気にしていない、という方もいらっしゃると思いますが、たまにつま先の減り具合も見てあげてください。
もし、ウエルトが削れてしまいそうだったらぜひ日本橋三越リペア工房までお持ちください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております!
つま先補強レザー:1,880円